人物Character

メッセージ

塚本 弥八郎 先生より

名城大学名誉教授、日本ファジィ学会第6期会長

- 人間の主観と個性を尊重し科学が真に人間のためのものであるあり方を問い続けます -   他の学会では見られないこの鮮烈な文言を1989年6月、日本ファジィ学会の定款のなかに入れたのは菅野道夫だった。それは前向きで率直な彼の生き様でもあった。
菅野道夫という天才はλ-ファジィ測度から始まり常に新しい問題に挑戦してその成果を世に示し続けた。
思えばおよそ60年前、都内の物理学科の学生がたむろする都物懇に、道夫、光、恭子、私もいてその頃からの友達だったというよりは私の先生だった。

向殿 政男 先生より

明治大学名誉教授、日本ファジィ学会第3期会長

菅野先生は、研究、旅行、酒、・・・、色々なことを、独創的でユニークな観点から追求し続け、かつ、体現し、楽しんで人生を送られた人だったと思います。
L. A. Zadehと同様に、「曖昧さ」の存在を認め、それを応用する研究に対する反対の渦の中を積極果敢に戦われ、現在の確固たるファジィ研究の基盤を確立されました。その輝かしい研究業績は、世界的に認められ、菅野先生の研究に関連した研究論文や出版は、今でも世界各国で行われています。そして、研究仲間や友人は、世界中におられます。
菅野先生は、研究活動として、工学ではファジィ制御、数理ではファジィ積分、その他多くのファジィ関係の分野を開拓され、菅野の名を残しておられます。もう一つ、私は、科学技術の中での ”曖昧さ” の重要性を主張した新しい科学哲学の業績も忘れてはならないと思います。特に、世界中の曖昧さを表す言葉を網羅されて、不確かさには、現象の蓋然性、言葉の曖昧性、意識の漠然性の三種類に分類されると明言されたことは画期的なことだと思います。
世界のファジィ研究や活動をリードされてきた菅野先生は、我が国においては、ミスターファジィと呼ばれていたことをよく覚えています。

廣田 薫 先生より

東京工業大学名誉教授、北京理工大学特別招聘教授、日本ファジィ学会第7期会長

菅野先生からは、1970年代には私の東工大在学中からファジィに関してご教示いただき、学会活動ではあいまいシステム研究会、およびSOFTやIFSAの設立準備以前から、東京工業大学に在職した1995年からは菅野先生が退官されるまで、懇意に直接のご指導を賜りました。特に強く印象に残っている菅野先生から教えられたことは
研究会合などがお開きになった後は、必ず居酒屋などで懇親を深める場を用意して、また国際会議海外出張では公式行事終了の夕食後にホテルの部屋で酒席を設けて、本音で語り合うこと 各種事業を実施するときも、堅苦しい形式に囚われずに「自然に始まり自然に終わる」を基本とすること 研究や仕事の重要なポストは、長期間独占することなく、適切な時期に適切な次世代にまかせて、自分の影響力を残存するような院政はしかないこと などなど、数えきれません。

和多田 淳三 先生より

早稲田大学名誉教授

菅野先生がグルメであることは、よく知られていますが、マルセイユ大学のElie Sanchez教授(1944-2014年)が主催したThe IFAC Symposium on Fuzzy Information, Knowledge Representation and Decision Analysis(July 19-21, 1983)のファジィ・システムを中心とした国際会議に参加した時は、菅野教授を始めとする10名ぐらいの日本の研究者とともにマルセイユの港でブイヤベースに舌鼓を打ちました。スペインのバルセロナで開催されたIEEEの国際ファジィシステム会議 FUZZ-IEEE 1997(July 1-5, 1997, Barcelona, Spain)では、バルセロナ駅の裏にあるスペイン料理店で大きな魚の塩包みの丸焼きを菅野先生たちと分け合って食べたことも楽しい思い出になりました。
私が感化された菅野道夫先生の研究は、早い時期から哲学的なテーマに取り組まれていたことと、哲学の領域にも造詣が深く、菅野先生の講演ではよくそのようなトピックスに、説明や議論が向かうことでした。

山ノ井 高洋 先生より

北海学園大学名誉教授、北海道大学大学院保健科学研究院招聘教授

菅野先生に初めてお会いしたのは、私が北海道大学大学院工学研究科情報工学専攻の大学院生で、先生が集中講義にいらした時でした。その後、先生は毎年の様に情報工学専攻に、夏休みあるいは春休みに集中講義にいらっしゃいました。集中講義の後は、必ずと言っていいほど、札幌北二十四条の炉端焼き大狸に繰り出しました。そこで、北海道の八角なる魚を初めて口にされ、後でお会いした時に広辞苑にきちんと掲載されているとおっしゃったことは記憶に残っております。
2000年春、私が客員教授として滞在していたフランスのマルセイユに訪れて下さり、ニースで地中海を見ながら昼食後、先生がスキーに行こうと発案され、アルプスでスキーを楽しみました。ナポレオン街道を北上し、富士山と同じくらいの標高にある青色に染まった氷河のトンネルを見学後、アルプスを見ながらの長い距離の滑降は楽しかったです。菅野先生の後にIFSA会長にもなったマルセイユの故エリー・サンシェーズ教授の家にも一緒に招かれ、エリーお気に入りのカランクのシーフードレストラン Paul で食事をしました。後日、エリーは「Michio は世界的に有名な研究者にもかかわらず、いつも謙虚で感心してしまう」と言っていました。

萩原 将文 先生より

慶応義塾大学教授、日本知能情報ファジィ学会第14期会長

菅野先生の多くのご業績、ご貢献は枚挙にいとまがありませんが、個人的には「言語を操る知的なコンピュータ」の概念に深く感銘しています。コンピュータと言うと、厳密なロジックに基づくもの、あるいは基づかなければならないものです。ところが例えばChatGPTは、あいまいな言語に注意機構をうまく導入したあいまい情報処理であると個人的には思っています。つまりChatGPTは、先生の提唱された概念の一つの実現例ではないでしょうか。今後、先生の先見性にあふれる概念の実現例が次々に出てくると確信しています。

林 勲 先生より

関西大学教授、日本知能情報ファジィ学会第15期会長

菅野先生に初めてお会いしたのは、私が松下電器中央研究所に在籍し、ニューロファジィを提案した1988年でした。研究会終了後に、話が面白いからと東京新橋駅の高架下居酒屋に連れて行かれ、安いが美味しい酒で、菅野先生とニューロとファジィの議論であっという間の2時間でした。菅野先生の論理は的確で、その後の私の研究にも大きな影響を頂きました。
菅野先生は私にとって永遠なる憧れの学者です。

小林 一郎 先生より

お茶の水女子大学教授

菅野先生の物事の本質を見極める深い洞察力は、たくさんの哲学書を通じてのものだと思います。一方で、学生への指導においてはご自分の知識を丁寧に説明することはなく、基本的に放任主義でしたので菅野先生から伝えられたことを理解するためには菅野先生がなぜそう思うのかを先生が読んだ書籍などを自分でも読んで理解する必要がありました。菅野先生のお考えを理解するためには、菅野先生と同じ深い洞察や知識をもった知の視点に立たない限り難しいと思います。そのため、結局、菅野先生の仰っていることを理解できない人も多いと思います。
菅野先生が指導する学生達にそのような視点に立てるように意図的にそうされていたかはわかりませんが、私自身は、菅野先生からは教わらないことで研究者としての自立心を含めたくさんのことを学んだと思います。

井上 敦司 先生より

九州工業大学客員教授

- 信号から言語まで。意味を測り、制した工学者。 -   ファジィ理論を基に制御、測度、さらには言語処理まで網羅した先駆的な工学を確立された偉大な開拓者。意味(Semantics)や状況(Context)を効率的かつ効果的に取り扱う洗練された統合的理論や手法はまさに学界のユニコーンです。

*このページには諸先生方より寄せられたメッセージを掲載させていただきました。 掲載内容、引用方法などに支障がある場合や加筆・修正のご希望がございましたら、お手数ですがご連絡いただけますと幸いです。
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