ファジィ研究は、菅野がはじめた当時はもちろん、現在でも “近代合理主義” の科学者たちからは白眼視され「まともな科学だとは認知されていない」のだそうだ。
「“いいかげんなことをやっている” 、“そんなものサイエンスでない” とムチャクチャいわれて、実は私自身何度か止めようと思ったこともあるのですが、何とかつづけてきたのは、それは私が二流人間だからですよ。いわばアウトサイダー......」
菅野はニヤリとしたたかな笑いを浮かべていった。それは東大を飛び出した西部邁が見せた笑いに酷似していた。
骨が大事か、肉が大事か?どちらが人間の本質なのか。
「それが彼らのいい方なのですよ。そしてファジィ、曖昧さとは、しっかりした骨格についているかざり、フリルみたいなものだと馬鹿にする。だから私たちはいうのです。“それなら、フリルこそが本質なのだ ” とね」
菅野は微笑を浮かべながら、しかし強い意志を示す口調でいった。
田原氏は、通産省による国際ファジィ工学研究所(LIFE)設立の新聞記事をきっかけにファジィ・コンピュータに興味を持ち、菅野へのインタビューを行った。

